加藤 智雲

Chiun Kato 環流整院 院長
プロフェッショナル・セラピスト
加藤 智雲

「心身の重荷を軽くする場所」をつくる。
体の不調を取り除き、誰もが笑顔で
日常を送れるようにすることが僕の使命です。

高校卒業後、さまざまな職業を体験した末にたどり着いた治療の道。子どもの頃に患った円形脱毛症の治療で出会った恩師に指導を仰ぎ、専門学校に通って国家資格を取得する。自身の経験から、人の痛みを知る加藤智雲が見つけた人生の使命とは。

Profile

加藤 智雲 環流整院 院長
プロフェッショナル・セラピスト

1983年、静岡県静岡市生まれ。幼少期から約10年の間、原因不明の円形脱毛症を患い、体の不調による心の痛みを知る。高校卒業後、建築業、運送業、経理、税理士事務所勤務、美顔師などさまざまな仕事を経験しながら人生の目的を探し続け、現在の仕事である体の不調の改善が使命だと気づき、専門学校に通い、国家資格の柔道整復師を取得。恩師から一子相伝秘術「らせん操法」を伝授され、 多くの人の痛み、不調を改善している。2020年にラセンテラピー専門の『環流整院』を開院。「ラセンテラピー」は、筋肉、神経、気血の流れを正常にし、骨格の左右の歪みを正してその状態を体に記憶させる施術法。「患者さんが笑顔で輝ける人生に導くこと」を使命としている。

Index

見出し

小学生で円形脱毛症を患う

僕は、恩師である施術家が開発した「らせん操法」という治療法による施術院を開いています。この道に進もうと思ったきっかけは、小学3年生の頃に発症した円形脱毛症です。脱毛は頭部全体に広がり、それが原因でいじめられたこともあります。15歳のときに出会った恩師のもとで治療を始めてから1年ほどで生え始め、高校を卒業する頃にはほとんど生えそろいました。当時の治療法は「らせん操法」ではなく、特殊な薬の石(シール)を脊髄に沿って貼り、免疫力を上げるという少し変わったものでした。諦めずに通い続けたのは、「この先生ならきっと治してくれる」と感じるものがあったからです。脱毛症の原因は不明ですが、今は何らかのストレスによる自己免疫疾患だと考えています。

あるとき、自分が脱毛症の改善によって前向きな気持ちになれたように、自分自身も人の悩みをなくしたいと思いました。加藤智雲の使命は、体の不調の原因が分からず、どこで治療しても良くならないといった悩みを抱えている方に、僕の施術を通して良い状態に導き、本来の自分に戻っていただくこと、そう志を決めて恩師の指導を仰ぎました。その後、整骨院勤務、プライベートサロン経営を経て、現在は恵比寿で『環流整院』という施術所を開いています。ここにたどり着くまでは、さまざまな出会いと出来事、経験がありました。

自分の使命を探し求めた日々

高校卒業後、進学はせず社会に出ました。最初はゼネコンの建設現場で働いていましたが、半年後にこの仕事は合わないと思い、友人と一緒に住宅足場の組み立て・解体の仕事を始めました。雨の日も雪の日も、猛暑の日も働き続け、世の中の厳しさを肌で感じた日々でした。ある日、脱サラした40代の方がチームに加わります。仕事は上手くいっていましたが、親子ほど年の離れた人を使うことに違和感を覚え、また、建築現場での仕事に将来性を感じられなくなり、住宅足場の仕事は辞めました。

その後は、洗車や運送業などのアルバイトをしながら自分に合う仕事を探し求め、体を使う以外の仕事をしようと、パソコンのスキルを身につけるためスクールに通います。卒業後、税理士事務所に勤めて税務全般の基礎を学んだ後、親族が経営する会社に入社し、6年ほど総務・経理の仕事を経験しました。その頃僕は20代後半。「自分の使命は何だろう?」と考え続け、自己発見のためにスピリチュアルなものに頼ったり、占いやいろいろなセミナーに足を運びました。それでも使命を見つけられずにいた頃、知人の紹介で出会った元アニメ作画監督が行っていた、人相を良くするための整顔に興味を持ち、すぐに指導を受けました。そして、積み立て型保険を全て解約し、それを元手に美顔サロンをオープンします。

運命的な出会い

オープンしてから6ヶ月で十分な生活費を稼げるようになり、お客様が笑顔になる喜びを知り、円形脱毛症で悩んでいた自分を思い出し、僕がやりたいこと、使命は人の悩みをなくすことなんだと直感し、恩師に「らせん操法」の指導を請います。まずは、体の仕組みを知り、診ることができるように、国家資格である柔道整復師を取りなさいというアドバイスをいただき、美顔サロンで貯めたお金で専門学校に入学します。3年間仕事と学校を両立させながら、恩師のもとでも実践を通して学びました。

無事、柔道整復師の資格を取得し、専門学校の先輩の整骨院に副院長として勤め、患者さんの体の痛み、痺れ、運動障害といった症状と向き合いました。実践経験を積みながら休日は恩師のところに通い、インプット、アウトプット、フィードバックを繰り返し、技術向上に努めました。そして、数年後の2018年2月、人生の転機となるある美容師さんと出会います。その方は美容師以外の活動もされていて、以前からその活動に興味を持っていました。彼のセミナーへの参加をきっかけに親しくなり、出会いから3ヶ月ほどしたある日施術をすることになりました。終わると、「こんな手技を隠していたの?!」と気に入っていただき、早速お客様をご紹介くださいました。
実は、僕はずっと髪の毛は自分で切っていました。頭にコンプレックスがあり、他人に触られるのが嫌だったからです。ですが、この美容師さんならと思い、以来彼に切ってもらっています。

2人の医師による医療監修

美容師さんにご紹介いただいた方々は、普通はなかなかお目にかかれないような経営者の方ばかり。彼らの体に触れて気づいたことは、スポーツトレーナーはいるのに、経営者の体をメンテナンスする専門のセラピストはいないことでした。正確にケアできれば彼らのパフォーマンスは向上すると感じ、また、厳しい目を持った経営者の方々に高く評価いただいたことで自信になり、経営者のフィジカルメンテナンスと、体の不調で悩まれている方専門の施術所開院を決意しました。表参道にあるマンションの一室を借り、全くのゼロからのスタート。定期的に出張施術をしていた、美容師さんご紹介の経営コンサルタントの先生に独立を伝えると、施術用のベッドをプレゼントしてくださいました。さらに、患者さんを何名かご紹介くださり、何とか自分の施術所を始めることができました。

経営と施術の両立の毎日は学びの連続でした。そんな中で・・経営者と体に不調がある方だけを対象にしていていいのかと自問自答した事もあります。仮説と検証を繰り返す日々の中で、ある患者さんの「ビリがいつトップになるか分からないし、トップがいつビリになるか分からない。だからあなたがしている施術は勝ちます!忘れないで」というひと言が、新しい施術所を開院するきっかけになりました。2019年は、患者さんから多くを学び、もう一度自分自身と向き合って原点回帰し、自分の弱さを受け入れ、今以上に良い施術所を作るために準備を始めた1年でした。
オープンするにあたり自分の苦手と強みを分析し、専門外のことは先輩方にアドバイスいただきながら、患者さんが求めることをとことん追求しました。そうして2020年8月31日、東京・恵比寿に新しい施術所『環流整院』をオープンすることができました。

近年特に、体が冷えている方がとても多いと感じています。新施術所ではハイブリッド温熱機を導入し、冷えによる不調を抱えている方のサポートもしたいと思っています。有り難いことに、お世話になっている方のご紹介で、冷え治療のスペシャリストの川嶋朗先生と、探検家・医師でグレートジャーニーで有名な関野吉晴先生に医療監修していただけることになりました。

このように、さまざまな経験を経て自分の使命を見つけ、いろいろな方のご縁に助けられ、治療の道を歩むことができています。

一子相伝秘術「らせん操法」

僕の治療法、手技は「らせん操法」と言い、恩師が開発しました。治療では、原因を探るために問診をしたり、施術時に体から伝わってくるものを感じ取りながら行うのですが、とても集中力のいる施術で、たまに集中し過ぎて患者さんの話す声が聞こえなくなってしまうほどです。
頚椎、胸椎、腰痛、仙尾骨など、原因箇所によって結果となって現れる症状は異なりますが、基本的には同じ方法でアプローチします。患者さんの体が緊張しない程度の力加減で、相手を感じながら左右のねじれを起こしている骨格を正常に戻し、硬く深いところの筋などは、回転を使って表面に浮き出させて優しく施術します。そうして、体にいい塩梅の状態を記憶させます。強く押したり、揉んだりはしません。過度に緊張している筋肉や軟部組織を緩めることにより、血液循環や神経伝達がスムーズになります。
痛みの原因は、背骨から出ている神経が圧迫されて起きる場合と、神経が硬くなった筋肉に圧迫されて異常興奮を起こす場合とがあります。悪化すると、痺れ、運動障害などの症状を引き起こすこともあります。

小手先の治療ではなく、症状と体に合わせたオーダーメイド治療で、不調の原因を取り除いていきます。患者さんの状態にもよりますが、体が本来の良い状態を記憶するまでの日数には個人差があります。これまでには、ヘルニアで指が動かなくなってしまった方、変形性腰椎症で屈めなくなってしまった方、慢性首痛・慢性肩痛・慢性腰痛の方、さまざまな患者さんの笑顔を取り戻してきました。中には、首の疾患で悩まれていた方が、わざわざアメリカから施術を受けに来てくださったこともあります。

患者さんの笑顔のために

人間の体の自己回復力は素晴らしいです。僕自身、幼少期の円形脱毛症を克服してその力を体験しました。今、一人一人が持っている自己回復力を最大限に発揮するお手伝いができることを嬉しく思っています。「主人公は患者さん」。痛みで悩んでいる方、慢性疲労の方が「笑顔で生き生きと輝いた日常を送れるようにすること」が僕の使命です。

『環流整院』のミッションは、ご自身の体の状態を知っていただき、施術によって痛みや悩みを「根本的に改善すること」で、体だけでなく心も本来の状態に戻し、心身共に常に良い状態で生活できる人を増やすことです。そのために日々学び、これからも一歩一歩成長していきたいと思います。また、さまざまな病気で苦しんでいる子どもたちに、僕が円形脱毛症で悩んだ経験をシェアしたいと考えています。それは、人生の意義を探し求める大切さを伝えたいからです。自信を持てず、人生の目的を見つけられずにいた僕でもここまで来られたのですから、病気だからと諦めずに頑張っていたら、誰でもきっと自分の使命を見つけられるはずです。

AIやテレワークで、人と人との関わりが少なくなっても「人の体を良くするのは人」。将来的には、同じ想いを持つ施術家と施術所を増やしていきたいと思っています。

Message

加藤 智雲

杉山大輔さんのインタビューを受けて、潜在的な自分の想いをより鮮明にすることができました。杉山さん、ありがとうございました。この記事を読んでいただいた方に、「こんな想いでやっているなら一度行ってみたい」と思っていただけたら嬉しいです。
人の痛みが分かる施術家として、体の不具合で悩まれている方には必ず良くなってもらいたいと強く願っています。治療法には自信があります。患者さんの体を良くすることは当たり前、それよりも患者さんとどう向き合うか、患者さんの立場になって施術することがとても大切。人間性と技術力の融合こそが、治療家として患者さんを元気に輝かせることだと真剣に考えています。
『環流整院』は、地域の方はもちろん、体にお悩みがあるすべての方の最後の駆け込み院。是非一度、治療にいらしてください。

環流整院 院長
プロフェッショナル・セラピスト
加藤 智雲
Interview and Editor : Daisuke Sugiyama | Text: Naomi Kusuda | Photography: Masaaki Miyazawa
Prev
Prev
More DOers
More DOers
扇 貴博 Takahiro Ougi 株式会社スタンダード・プロ 代表取締役
Next